不動産取引の透明性向上と公正な市場環境の整備を目的として、2025年1月1日より宅地建物取引業法施行規則の改正が施行されました。この改正により、宅地建物取引業者(以下、宅建業者)には、指定流通機構(レインズ)への物件登録時の説明責任が強化され、売主が自身の物件の取引状況を容易に確認できる仕組みが導入されました。
改正の背景と目的
これまでの不動産取引において、一部の宅建業者が物件情報を独占し、他の業者や買主への情報提供を制限する「囲い込み」と呼ばれる行為が問題視されてきました。このような行為は、売主にとって不利益となるだけでなく、市場の公正性を損なう要因ともなります。
こうした課題を受けて、国土交通省は不動産取引の透明性を高め、売主が自らの物件の状況を正確に把握できるよう、レインズの機能を強化し、宅建業者の説明責任を明確化する改正を行いました。
レインズへの取引状況登録の義務化
今回の改正により、宅建業者は専属専任媒介契約または専任媒介契約に基づいて物件をレインズに登録する際、取引状況の登録・更新を適切に行うことが義務付けられました。
取引状況のステータスは、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」など、複数の区分が設けられており、これらのステータスを正確に入力し、随時更新する必要があります。これにより、取引の進行状況が可視化され、情報の信頼性が高まります。
売主への説明責任の強化
宅建業者は、物件をレインズに登録した際に発行される「登録証明書」を売主に交付するとともに、以下の内容について分かりやすく説明しなければなりません。
ステータス管理機能の利用方法
売主が自身の物件の状況を確認するための画面の存在、ログイン手順、基本的な操作方法などを丁寧に案内する必要があります。
取引状況の確認方法
売主がリアルタイムで取引状況を把握できる仕組みがあることを伝え、定期的な確認を推奨します。
こうした説明を通じて、売主が自らの物件がどのように市場に出され、どのような取引状況にあるのかを常に把握できるようになります。
登録証明書への二次元コードの導入
2025年1月4日以降に発行される登録証明書には、売主専用の確認画面へアクセスできる二次元コード(QRコード)が記載されるようになりました。これにより、売主はスマートフォンなどを使って簡単に取引状況を確認することが可能となります。
デジタルツールの活用により、より直感的かつ迅速に状況把握ができるようになった点も、今回の改正の大きな特徴です。
違反時の指導・処分
もし宅建業者が取引状況の適切な登録や更新を怠った場合、あるいは虚偽の情報を入力した場合には、宅地建物取引業法第65条第1項に基づき、監督行政庁による指示・指導・処分の対象となります。
この規定は、宅建業者に対する法的な抑止力となると同時に、売主にとってもより信頼できる取引環境が整備されたことを意味します。
売主のメリットと留意点
今回の改正により、売主には以下のようなメリットが期待されます。
取引の透明性向上
自身の物件が市場にどう流通しているかをリアルタイムで確認でき、情報の隠蔽や囲い込みといった不正行為を抑止できます。
迅速な意思決定
購入希望者からの申込み状況などがすぐに確認できるため、売主としての判断や対応が迅速に行えるようになります。
ただし、売主側にも「定期的に取引状況を確認する」「不審点があればすぐに宅建業者へ問い合わせる」といった積極的な姿勢が求められる点には留意が必要です。
まとめ
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