基礎知識

宅地建物取引業免許について

宅地建物取引業とは

該当する業務

宅地建物取引業(以下、宅建業と表記します)とは、不動産に関する事業のうち、宅地または建物について自ら売買や交換を行うこと、宅地または建物について他者の売買や交換、賃貸の代理もしくは媒介を行うことをいいます。

宅地とは

宅建業法における「宅地」とは、「建物の敷地に供される土地」「用途地域内の土地」のことを差します。

建物の敷地に供される土地には、現在建物が建っている土地だけでなく、将来建物の敷地として使用する目的で取引される土地も含まれます。建物の種類や場所にかかわらず、該当すればすべて宅地となります。また、将来建物を建てる目的で取引されるのであれば、現在の土地の用途が何であっても宅地となります。

用途地域とは、建築できる建物の用途等を定めた地域のことをいいます。用途地域の土地であれば、建物の有無や建物を建てる目的があるかどうかに関わらず宅地となります。ただし、用途地域内の土地であっても、道路・公園・河川・広場・水路は宅地に該当しません。ただし、用途地域内の道路等の宅地に該当しない用地であっても建物の敷地に供される土地として取引する場合は宅地となります。

建物とは

「建物」については、宅建業法で特に定義されていません。民法上では、住宅や事務所・店舗・工場・倉庫など、柱・壁・屋根といった構造部分を具備しており、建物として使用が可能なものが該当します。

該当しない業務

オーナーさんから委託を受けて家賃や敷金礼金の管理を代わりに行う賃貸住宅管理業や、管理組合から委託を受けてマンションの維持管理を代わりに行うマンション管理業などは、不動産に関する事業ですが宅地建物取引業には該当しません。

業の解釈、留意点

宅建業における「業」とは、不特定多数の者に対して、反復継続して取引を行うことを言います。

事業を行うことを目的としている方にとっては当然のことかと思いますが、不特定多数ではなく特定の者に対する取引や、継続しない一度だけの取引は業にあたるのか?業として行わないのであれば宅建業免許はいらないのでは?という疑問を抱く方もいます。

この点は宅建業免許を管轄する官庁によって考えが分かれるので注意が必要です。例えば東京都の場合ですと、特定の者に対する一度だけの取引であっても、売上を目的としての取引であれば業にあたると考えており、該当する取引を行う際は宅建業免許が必要です。自己で所有していた宅地や建物を売却処分したケースでも疑義が生じたこともございます。

宅建業免許の取得は、事業を行うときに限らず、行おうとしている取引が業にあたるかどうかの確認も踏まえて検討したほうがいいと思います。

免許の区分

知事免許と大臣免許

免許には都道府県知事免許と国土交通大臣免許の区分があります。都道府県知事免許は、事務所を1つの都道府県の区域内のみに設けて営業する場合に取得が必要となる免許です。国土交通大臣免許は、事務所を2つ以上の都道府県の区域内に設けて営業する場合に取得が必要となる免許です。

そのため、仮に事務所が10か所あっても、全て東京都内に設けている場合は東京都知事免許を取得している必要があります。事務所が2か所であったとしても、本店を東京都に、支店を埼玉県に設けている場合は国土交通大臣免許を取得している必要があります。

事務所の数ではなく、事務所のある地域に応じて取得する免許が異なります。

会社と個人事業

宅建業の免許は、会社・個人事業問わず取得することができます。株式会社、協同組合及び公益法人等の会社として宅建業の免許を取得して営業することもできますし、個人事業主として宅建業の免許を取得して営業することもできます。

免許の有効期間

有効期間は5年間

宅建業の免許には取得してから5年間という有効期間があります。

有効期間の満了後、引き続き宅建業を営もうとする場合は、その有効期間が満了する日の90日前から30日前までの間に免許の更新申請をする必要があります。

宅建業免許は専任の宅地建物取引士がいることや事務所を設けていること等の要件を満たしていることをもって取得できます。要件を欠いてしまった、満たせなくなった場合は、宅建業免許は継続できなくなります。

そのため、定期的に宅建業免許の要件を維持継続しているかを判断することを目的として有効期間が設けられており、5年ごとに要件を満たしているかの確認のため更新申請をする必要があります。

更新申請をしなかったら

更新申請をしなかった場合は、免許が失効となります。当たり前ですが、免許失効後も宅建業を営むと無免許で営業していることになり罰則が科されますので注意が必要です。

更新申請をせずに免許を失効しまった後も宅建業を営みたい場合は、新規申請をして新たに免許を取得しなおす必要があります。

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