不動産取引の入口として、広告は宅建業にとって欠かせない営業手段です。しかし、広告の内容に誤りや誇大な表現があると、消費者トラブルや業法違反につながり、場合によっては厳しい行政処分を受けることになります。
ここでは、宅建業の広告における注意点と、違反した場合に受ける処分、実際の具体例についてわかりやすく解説します。
宅建業法に基づく広告規制の概要
宅建業の広告は、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)や景品表示法に基づき、厳格なルールが定められています。特に以下の点が重要です。
- 誇大広告や虚偽表示の禁止(宅建業法第32条)
- 許可や確認前の物件広告の禁止
- 物件概要欄への必要事項の正確な表示
- インターネット広告も含め、すべての広告媒体が規制対象
これらを守らずに広告を行った場合、行政指導や処分の対象となります。
広告における具体的な注意点
1. 広告開始のタイミング
以下のような場合、広告を行うことはできません。
- 建築確認前の新築物件
- 開発許可前の宅地分譲
- 宅地造成工事やインフラ整備が未了の状態
誤ったタイミングで広告を行うと、消費者に誤解を与えるだけでなく、行政処分の対象になります。
2. 誇大広告・虚偽表示の禁止
次のような広告は、宅建業法や景品表示法に違反します。
- 実在しない物件の広告(おとり広告)
- 実際より著しく安い価格の表示
- 存在しない設備や仕様の記載
- 法令上不可能な用途を可能であるかのように表示
3. インターネット広告の適正化
物件情報の多くがネット上で発信される現在、インターネット広告においても以下を徹底する必要があります。
- 掲載情報を常に最新・正確な状態に保つ
- 成約済みや募集終了物件を放置しない
- 集客目的のおとり広告を絶対に行わない
4. 物件概要欄の正確な記載
広告には以下の情報を正確に記載する必要があります。
- 所在地、交通、価格、面積、用途地域、建ぺい率・容積率、接道状況
- 権利関係(所有権・借地権など)
- 引渡し時期、取引態様(媒介・売主など)
- 販売戸数や区画数
不利な情報を意図的に省略する行為も違反です。
違反した場合の行政処分
広告違反が確認された場合、行政から以下のような処分が科されます。内容や悪質性に応じて処分の重さが変わります。
指示処分(宅建業法第65条第1項)
是正指導や再発防止策の指示
業務停止処分(宅建業法第65条第2項)
一定期間の営業活動停止
免許取消処分(宅建業法第66条)
宅建業免許そのものの取消
行政処分の内容や事業者名は原則として公表され、社会的信用の失墜につながります。
実際にあった広告違反と処分事例
全国では以下のような広告違反により、行政処分が行われています。
事例① おとり広告(大阪府)
実在しない賃貸物件を広告し、問い合わせをした消費者に「すでに決まりました」と虚偽説明を行い別物件を紹介。
【処分】30日間の業務停止処分
事例② 虚偽価格表示(東京都)
実際より著しく安い価格を広告に掲載し、景品表示法にも違反。
【処分】指示処分および消費者庁からの措置命令
事例③ 表示義務違反(愛知県)
物件概要欄に用途地域や建ぺい率等を記載せず、誤解を与える広告を継続。
【処分】指示処分
事例④ 許可前の土地広告(埼玉県)
開発許可が下りる前に土地分譲の広告を行い、消費者を誤認させた。
【処分】60日間の業務停止処分
行政の考え方と事業者へのお願い
不動産広告は消費者の大切な判断材料であり、業界の信頼にも直結します。
行政側も消費者トラブルや業界の健全な発展を妨げる広告違反を厳格に取り締まっています。事業者の皆様におかれましては、法令を十分に理解し、正確・誠実な広告活動を徹底していただくようお願いいたします。
まとめ
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