宅地建物取引業(宅建業)を営むためには、宅建業法に基づいた免許を取得する必要があります。これは、不動産取引が消費者や取引相手にとって大きな影響を与えるため、一定の専門知識や責任能力を有する業者のみが不動産取引に携わることができるようにするための仕組みです。
では、宅建業免許を取得せずに不動産取引を行った場合、どのようなリスクや罰則があるのでしょうか。通常は「無免許営業なんてそもそもだめですよ!」で済ます話なのですが、気にする人がいるようなのでここで詳しく解説していきます。
宅建業免許とは?
宅建業免許は、不動産の売買・賃貸の仲介や代理などを業として行うために必要な許認可です。免許を取得するためには、一定の要件(事務所の設置、宅地建物取引士の設置、欠格事由に該当しないなど)を満たしたうえで、知事または国土交通大臣の免許を受けることが義務付けられています。
宅建業免許なしで不動産取引をするリスク
- 法律違反による行政処分 宅建業免許なしで不動産取引を行うことは、明確な宅建業法違反にあたります。発覚すれば直ちに営業停止や行政指導の対象となります。また、今後免許を取得しようと申請しても、過去に違反行為を行ったことが影響し、免許申請が却下される可能性があります。
- 信用の失墜 宅建業免許を持たずに取引を行う業者は、社会的な信用を著しく損ないます。不動産業界は信頼が最も重要な業界のひとつであり、一度信用を失えば、今後の取引や事業展開が困難になるでしょう。取引相手や消費者からの信頼回復には長期間を要し、事業の継続自体が困難になることもあります。
- 損害賠償請求の可能性 免許なしで不動産取引を行った場合、取引相手や消費者に不測の損害が生じることがあります。このような場合、業者側は免許取得義務を怠った過失責任を問われ、民事裁判で損害賠償請求を受ける可能性があります。重大な損害が発生した場合、その金額は数百万円から数千万円に及ぶことも珍しくありません。
宅建業免許なしで不動産取引をした場合の具体的な罰則
- 刑事罰の適用 宅建業免許を受けずに宅建業を行った場合、宅建業法違反として刑事罰が適用されます。具体的には、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方」が課されることになります。さらに、法人が違反した場合は、法人に対しても罰金刑が科されます(1億円以下の罰金)。
- 公表による社会的制裁 宅建業法違反が明らかになれば、行政庁によって事業者名が公表されることもあります。特に悪質な場合や多数の消費者に影響を与えた場合には、行政による報道発表やウェブサイト掲載が行われる可能性があります。これにより社会的な信頼が著しく失われ、営業が継続できなくなることもあります。
宅建業免許が不要な場合の取引とは?
宅建業免許が必要なのは、あくまで「業として」不動産の取引を行う場合です。自己所有の不動産を売却したり、自らが貸主として賃貸する場合など、一時的かつ個人の範囲内での取引においては免許は不要です。しかし、繰り返し利益を目的として取引を行う場合や、取引を頻繁に行っている場合には、「業」とみなされる可能性が高く、免許が必要となります。
実際にあった無免許取引の事例
実際にあったケースとして、不動産投資を行う個人が継続的に物件を購入し、それらを短期間で転売する行為を繰り返したことで、行政から宅建業免許の取得義務を指摘され罰則を受けたケースがあります。また、免許を持たずに仲介を行った事業者が取引トラブルを起こし、消費者からの訴訟により多額の賠償を命じられた事例も存在します。
まとめ
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