不動産業を営むうえで、宅地建物取引士(宅建士)は重要な役割を担っています。特に「専任の宅建士」は、事務所ごとに法律で一定数の配置が義務付けられており、不足すれば業務停止などの行政処分につながることもあります。そのため、新たに専任の宅建士を雇用する際には、法令遵守だけでなく、実務能力や雇用契約の整備などにも十分な注意が必要です。
宅建士証の有効性と登録状況の確認
まず前提として、宅建士として活動するには「宅建士証」を持っていることが必要です。また、その証が有効であること(有効期限内であること)を確認しなければなりません。さらに、登録先の都道府県も確認しておくとよいでしょう。ただし、宅建士証の登録都道府県と勤務先の都道府県が異なっていても、移転登録は必須ではありません。宅建士証が有効であれば、そのまま他の都道府県で専任の宅建士として勤務することが可能です。ただし、手続き上の利便性などを考慮して、登録都道府県を変更(移転登録)することも任意で可能です。
チェックポイント
- 宅建士証の有効期限
- 登録番号および登録都道府県
- 過去の行政処分歴の有無(念のため)
専任の定義と配置義務
「専任の宅建士」とは、事務所に「常勤」し、かつ「専らその業務に従事している」者のことを指します。単に資格を保有しているだけでは専任とはなりません。「非常勤」や他の職業を兼ねている場合は認められず、社会保険や雇用契約の内容も重要な判断材料となります。
必要な勤務条件
- フルタイム勤務(週5日・1日8時間が目安)
- 社会保険への加入(専任性の証明として有効)
- 他社との兼業がないこと(原則禁止)
雇用契約内容の整備
宅建士を雇用する場合、資格者としての責任が重いため、雇用契約にもその旨を明記することが望まれます。特に「専任の宅建士として配置すること」「重要事項説明書等への記名押印を行う業務が含まれること」など、具体的な職務内容を記載することで後のトラブルを防げます。
また、専任者として登録後、すぐに退職されると会社としての要件を満たさなくなるため、試用期間や退職時の取り決めについても契約で整えておくことが大切です。
契約書に明記すべき事項
- 宅建士業務の範囲
- 専任登録に関する協力義務
- 登録変更・退職時の手続き
- 試用期間中の対応
専任登録と届出義務
宅建士を雇用して専任の宅建士として場合、「変更届」を提出しなければなりません。届出は「就任後30日以内」に行う必要があり、これを怠ると行政指導や業務停止命令の対象になることもあります。
提出先は、宅建業免許を管轄する都道府県または国土交通大臣で、提出書類には宅建士証の写し、誓約書、勤務証明書などが含まれます。
提出書類例
- 専任の宅建取引士 変更届
- 顔写真
- 宅建士証の写し
- 誓約書(兼職なし、専任性の確認)
- 雇用契約書または勤務証明書
各自治体で提出書類は異なりますので、上記のすべてが必須というわけではありません。また、以前は必須だった登記されていないことの証明書と身分証明書の提出は不要となりました。
雇用後の管理と更新対応
雇用した後も、宅建士証の有効期限切れや専任条件の喪失(兼業、長期休職など)がないか定期的に確認することが重要です。また、宅建士証の更新には5年ごとの講習受講が必要であり、これに必要な日程調整なども配慮することが望ましいです。
さらに、退職や異動があった場合には速やかに届出を行い、後任の専任宅建士を早急に配置する必要があります。専任者が不在になると、宅建業務が事実上停止せざるを得なくなります。
以前に宅建業者を経営していた方を採用する場合
以前に宅建業の傾斜を経営していた方を雇用する場合は、以下についても確認が必要です。
- 以前の宅建業者が宅建業を廃業しているかどうか
- 会社そのものを廃止しているかどうか
- 廃止していなくても代表者として登記が残っていないこと
会社が残ってしまっていると常勤性などに疑義が生じることがあります。しっかりと確認をしましょう
まとめ(箇条書き)
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